お屋敷の中で、絵画に浸る。ローマ、スパーダ絵画館
スパーダ絵画館に行ってきました!
ローマにあるスパーダ絵画館。ガイドブックなどではなかなか紹介される機会は少ないですが、ローマの美を語る上で欠かせない重鎮、フランチェスコ・ボッロミーニのユニークな作品が見られることで知られています。
スパーダ絵画館とは?絶対行くべき理由ベスト3
- フランチェスコ・ボッロミーニのユニークな回廊(中庭)を観賞出来る点。
- 一年を通じて比較的空いていて、のんびりと美術鑑賞できる点。
- 宮殿と芸術、二つの美をセットで楽しめる点。
「スパーダ絵画館」は、ローマのテヴェレ川近くにあるスパーダ宮の一部を利用した絵画館。元々このお屋敷の持ち主だったベルナルディーノ・スパーダ枢機卿(絵画館の名前はこの人物に由来します)らの審美眼で選び抜かれた絵画や彫刻たちが、美しく館内を彩っています。建物自体はイタリアの行政機関の一部を利用してるため、意外と観光客に知られていない点も◎一年を通じてごった返すことがほとんどありません。
スパーダ絵画館 押さえておくべき魅力とは?
ボッロミーニのユニークな回廊
スパーダ絵画館を語る上で欠かせない場所といえば、ボッロミーニの手がけた回廊。家主のベルナルディーノ・スパーダ枢機卿が当時「遠近法」にご執心だったことからつくられた回廊は、見事なトリックアートが施されています。実際は8.82メートルの通路が、約35メートルあるように見える、とってもユニークな場所。ここだけ見て帰る観光客もいるほど有名な場所ですので、是非チェックしてみてください。
枢機卿の部屋
館内に入ったら、まずは家主にご挨拶!絵画館は大きく4つの部屋に分かれており、初めに登場する部屋(Sala I)はベルナルディーノ・スパーダ枢機卿自身の部屋としても使用されていた場所です。枢機卿のトレードマークである赤い服(カーディナルレッドと言います)を着たこちらの巨大な絵画の人物こそが、ベルナルディーノ。イタリアの誇る売れっ子画家、グイド・レーニ(Guido Reni)によって1631年に描かれました。
15~16世紀頃の作品
続いて、お隣の部屋(SalaⅡ)へ。こちらで存在感を放っている大きな絵画は、マルコ・パルメッザーノ(Marco Palmezzano)の「カルヴァリオへの道(Andata al Calvario)」です。”カルヴァリオ”はいわゆる”ゴルゴダの丘(キリストが処刑された場所)”のこと。彼の活躍した年から推測するに、15~16世紀に描かれた館内でも特に深い歴史を持つ作品で、この部屋は、他の部屋に比べおよそ1~2世紀前の作品が多く展示されています。
360度華やかさ極まる、フロア
まるで天井までもが美術作品かのような、3番目の部屋(Sala Ⅲ)。大きな窓やシャンデリアから注ぐ光が作品たちを、より輝かせています。天井にも絵画の世界が広がっているのが特徴。ファブリツィオ・スパーダ枢機卿(ベルナルディーノの孫)の指示で制作されたもので、四季や大陸、森羅万象を擬人化した楽しい絵画となっております(ご参考までに写真は上が火と空気、下が水と大地をテーマにしています)。
肖像画が豊富な、4番目の部屋
最後の部屋(Sala Ⅳ)は巨匠、カラヴァッジオの影響を多分に受けた画家たちの作品が中心。写真はフランチェスコ・フリーニ(Francesco Furini)の「聖ルチア(シラクサのルチア)」です。顔が描かれていないのに陰影の効果で、官能的で女性らしい雰囲気が見事に表現されている一作。ナポリ民謡でも有名な聖ルチア(サンタルチア)。ここで、お顔を拝見…とはいきませんが、私たち日本人にも馴染みのある聖人の一人かと思いますので、お見逃しなく。
スパーダ絵画館 是非味わってほしい逸品
Marocchino
「マロッキーノ」はチョコレートシロップを垂らした小さなカップ(デミタスカップ)に、エスプレッソコーヒーを少々。その上にフォームドミルクを入れて作った飲み物です。お店によってはチョコレートシロップがヌテラ(イタリアで大人気のヘーゼルナッツ味のチョコレートスプレッド)だったり、フォームドミルクの上に、ココアパウダーでラテアートが施されていたり様々。発祥は北イタリアですが、ローマでもたいていのカフェに置いてあるので、甘党の方は是非頼んでみてください。
スパーダ絵画館ワンポイントアドバイス
「セットで見学したい、サン・ジローラモ・デッラ・カリタ教会」
スパーダ絵画館の目の前の道を北西へ3-4分程歩いたところにある「サン・ジローラモ・デッラ・カリタ教会(Chiesa di San Girolamo della Carità)」。ここでもスパーダ家×ボッロミーニのコラボレーションがみられます。それは、中に入って右手スグのところにある礼拝堂。スパーダ家専用の礼拝堂で、ベルナルディーノの弟、ヴィルジリオ・スパーダの指示で、1660年頃ボッロミーニによってつくられました。
スパーダ絵画館観光での注意点
- 入場料は5ユーロです。
- 火曜から日曜の8時半から19時半迄開いています。
- 5ユーロのチケットで全ての展示エリアを観賞出来ます。
スパーダ絵画館はお屋敷の部屋の中に美術作品が展示されています。ゆえに、スパーダ宮の建物だけ見学したい方も、入場券を買う必要アリ。1枚で全ての展示エリアを巡ることができます。
まとめ
なおスパーダ絵画館(スパーダ宮)の大部分は現在イタリアの国務院(最高行政裁判所)が使用しています。入口は分かれていますが、途中まで同じ通路を通るので、万が一に備えて身分が証明できるもの(パスポート)などがあると安心です。開館時間も長く、ローマの中でも比較的ごった返すことが少ない絵画館のひとつ。是非足を運んでみてください。
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