ルネサンス文化の発信源。フィレンツェ、ブランカッチ礼拝堂
ブランカッチ礼拝堂に行ってきました!
フィレンツェ、サンタ・マリア・デル・カルミネ教会の中にある「ブランカッチ礼拝堂」。ほんのわずかなスペースなのですが、ここは世界的にも知られる「ルネサンス文化」が花開いた場所なのです。
ブランカッチ礼拝堂とは?絶対行くべき理由ベスト3
- 駅から徒歩15分ほどで行ける街中の観光スポットである点。
- イタリアを代表する巨匠たちの名画を観賞出来る点。
- ルネサンスを形作ったとされる貴重な作品たちに出会える点。
「ブランカッチ礼拝堂(Cappella Brancacci/カペッラ・ブランカッチ)」は、フィレンツェのサンタ・マリア・デル・カルミネ教会の中にある貴族、ブランカッチ家が祈りを捧げる為につくられた礼拝堂です。三方の壁を彩るフレスコ画たちが、それまで描かれていた絵画と異なる技法、スタイルで描かれたこと等から当時話題となり、果てはその後の「ルネサンス文化」を形作るまでの存在となりました。
ブランカッチ礼拝堂 押さえておくべき魅力とは?
誰もがご存知!?楽園追放
普段、絵画にほとんど触れる機会のない方でもおそらく一度は見たことがあるであろう有名絵画が、左上の壁に描かれている「楽園追放(Cacciata dei progenitori dall’Eden)」です。アダムとイブが禁断の果実を食べてしまったがゆえに楽園(エデンの園)から追放されてしまう場面を表したもの。マサッチオ(Masaccio)の作品で、教科書等でもお馴染みの一枚です。
もうひとつのアダムとイブ
「楽園追放」とちょうど向かい合う位置にも、アダムとイブにまつわる有名な一枚があります。それが「楽園のアダムとイブ(Tentazione di Adamo ed Eva)」。蛇に禁断の実を食べるよう、そそのかされているシーンを表したもので、マサッチオの師と言われている「マソリーノ(Masolino)」によって描かれました。禁断の果実を食べる前であるがゆえに、裸であることに何の恥じらいも感じていないアダムとイブの表情が印象的な一枚です。
センセーショナルな一枚「貢の銭」
ご紹介したアダムとイブの2作品は、実は礼拝堂の中では比較的小さな作品。それらに比べて非常にインパクトがあるのが、「楽園追放」の隣に描かれているマサッチオの「貢の銭(Pagamento del tributo)」です。聖書にまつわるシーンを切り取った作品なのですが、話の内容がわからなくても大丈夫!巧みな遠近法、一画面にいくつもの時間軸の話をいっぺんに描くスタイルが、完成当時大きな話題となり、その後のルネサンス文化を形作る重要な作品となりました。
下段を担当したフィリッピーノ・リッピ
礼拝堂の中のフレスコ画は写真のように上下二層構造になっています(既出のものは全て上段に描かれているもの)。当初はマソリーノが依頼受けた礼拝堂内の装飾。最終的に彼の存命中には全て完成することはなく、主に下段に描かれている作品はフィリッピーノ・リッピ(Filippino Lippi/彼もフイタリアを代表する超有名芸術家です)が仕上げを行っています。
13世紀の祭壇画
最後は礼拝堂の中央に祭壇画として飾られている「民衆の聖母 (Madonna del popolo)」をご紹介します。こちらは、教会が出来た1268年頃の作品。壁に描かれているフレスコ画たちと比較するとだいぶ年代の古いものゆえ、まだ人物の表情が硬く、遠近法や人体構造についても側面の作品たちに比べると発展途上であることがわかります。
ブランカッチ礼拝堂 是非食べてほしい逸品
Moscardini
「モスカルディーニ」はイイダコのこと。フィレンツェ自体は海に面していませんが、フィレンツェの属するトスカーナ州は、西側がティレニア海に面している為、肉だけでなく魚料理も気軽に楽しむことが出来ます。タコは食べる国と食べない国がありますが、イタリア人たちはタコが大好き(日本料理店に行くと、たこ焼きも時々見かけます)。モスカルディーニは小さくて食べやすいので、是非味わってみてください。
ブランカッチ礼拝堂ワンポイントアドバイス
「異時同図法」
異なる時間帯に起こった出来事を、同じ図(絵)の中に一気に描く技法が「異時同図法」です。日本では絵巻物(源氏物語絵巻)などで見かける技法ですが、ブランカッチ礼拝堂が当時多くの画家たちを魅了したのは、この「異時同図法」が見事に描かれていた為。作品の内容を知らないと一画面に違う時間軸の出来事が描かれているのを知るのはやや難しいかと思いますので、興味のある方は、是非解説書などを頼りに絵画を紐解いてみてください。
ブランカッチ礼拝堂観光での注意点
- 入場チケットが必要です。
- 月曜、水曜、木曜、金曜の10時から17時迄開いています。
- 見学時間は30分毎の交代制です。
礼拝堂へは一度に15人程度までしか入ることが出来ません。1回30分ずつの交代制のため、英語やイタリア語がわかる方は事前にインターネットでチケットを購入しておくと、当日待ち時間なく見学出来る為オススメです。
まとめ
なお、チケット売り場は閉館45分前(16時15分)に閉まりますのでご注意ください。入場料は私が見学した時は6ユーロでしたが、現在は「サルヴァトーレ・ロマーノ財団博物館(Fondazione Salvatore Romano)」とのセット券10ユーロのみの販売のよう…今後、状況如何で変更があるかもしれません。予約をしていった方が確実ですが、難しければ、当日来館でも大丈夫。是非足を運んでみてください。
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